対談紀行 2016 秋桜篇 フォトレポート

2016年12月19日

対談紀行

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今回の対談紀行は初の江古田開催。江古田は東京スープとブランケット紀行の地元とも言える場所 です。その江古田で 60 年続いたそば屋「甲子(きのえね)」さんは、昨年そば屋としての営業を終 え、現在はレンタルスペース、ときどき予約制のおそばの会を開いている、江古田駅南口のランド マーク的な場所です。甲子さんのスペースをお借りして対談紀行を行いました。
今回のゲスト
荒井智史さん(青ヶ島の郷土芸能「青ヶ島還住太鼓」代表、東京都青ヶ島村在住)
石神夏希さん(演劇集団「ペピン結構設計」劇作家)
対談紀行スタート前には、ゲストの方々と江古田の街を散策し、前回の対談紀行のゲスト安藤仁美 さんの古道具屋「がらくたやネバーランド」にお邪魔したり、また、江古田市場跡地(江古田市場 は 2013 年 12 月 31 日に閉場)では、南部昌平さん(江古田市場にあった入船屋煎豆店店主、第 2 回対談紀行のゲスト)と偶然お会いすることができました。
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甲子さんへ戻り、対談紀行のスタートです。
はじめに羊屋白玉が、このプロジェクトがさまよいころがってきた経緯について話しました。これ までのアーツ千代田での対談紀行と比べて、初めて地元江古田で対談紀行を行うことの感覚的な違 いなどにも触れました。江古田市場の閉場前後のスライド紹介では、南部昌平さん(お客さんとしていらっしゃった)が、南部さんが子供の頃、昭和 20 年代後半の江古田市場の写真について語っ てくださる場面もありました。

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続いて、荒井さんは「還住太鼓」法被を羽織り、羊屋は青ヶ島「牛祭り」T シャツを着て、 二人のトークです。
荒井さんは青ヶ島の地勢、気候、風土、歴史などをスライドで紹介し、参加者全員に青ヶ島のポス トカードのプレゼントもありました。また、東京スープとブランケットメンバーが 2014 年に青ヶ 島を訪れた際のエピソードなどもお話し下さいました。
荒井さんの優しい語り口から青ヶ島ののどかさが伝わるお話でしたが、一方で大変自然環境の厳し い島でもあることを知ることができました。
「還住(かんじゅう)」(1785 年に青ヶ島が大噴火し、八丈島への全島民避難の後、約 40 年を経て 青ヶ島へ還った)に至る約 40 年の間に何があったのかに今関心があり、当時の島民が還りたいが 簡単には還れなかったことを思うと、311以降の状況に照らして考えさせられるものがあると語ら れました。
ものごとの終わり、とむらい、と考えてきた私たち東京スープとブランケット紀行メンバーにとっては、示唆的なメッセージをもらった思いがしました。
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休憩を挟み、続いて石神さんと羊屋のトークです。
石神さんは香川県仏生山温泉でのプロジェクト作品「パラダイス仏生山」をご紹介下さいました。 仏生山温泉を自費で掘り当てた人、仏生山に何十年もの間、毎日のぼる人、山の野鳥に餌付けをし 続けてきた人、琴平電鉄の駅員さん、相撲甚句の全国チャンピオンの方などなど、個性的な地元の 方々との出会い。そして、それぞれの持っている個人的な物語を作品化していった際のエピソード などを語って下さいました。
石神さんのお話になったような魅力的な人たちは、全国どんな街にもいるのだろうなと思ました。 改めて街は人がつくっているものなのだと知り、楽しくなるお話しでした。
作品を創っていく過程で、いろいろな人たちと出会い、話をし、表現を見出していく手法は、江古 田や青ヶ島、奥多摩など東京を巡り出会ってきた私たちにとって、馴染みのあるものに感じられました。
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そして、荒井さん、石神さん、羊屋の 3 人でトーク。
伝統芸能と現代演劇、生活の中で自然な形で表現されるものの美しさ、土地に関わり土地のシンボ ルに目掛けて発する演劇、場所と表現の切り離せない関係についてなど、スープのように渾然一体 となった話が交わされました。
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最後に荒井さんがショメ節(八丈島、青ヶ島の即興詩)を歌い,お客さんも手拍子と共に「ショメ ショメ」と音頭を取りました。おそば屋さんの会場が一体となり、温かい雰囲気で対談紀行を終え ました。ショメショメ。
(ショメの由来は「潮目」や「塩と梅(あんばい)」などと諸説あるそうです。)
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